2023.3.12みことばの光
東北ヘルプ2022年ニュースレター、クリスマス号より、川上直哉牧師記
前略?津波被災地は、今、「復興 10 年」を経て、戸惑っているように思います。確かに「復旧」をしたのだと思います。でも、これは「復興」と呼べるのかどうか――ものすごい額の予算が投じられました。膨大な数のボランティアの力が集まりました。数えきれない支援物資を私たちは受け取り、分かち合いました。でも、今、私たちは戸惑っています。それでもなお「復興」は、はるか遠くに感じられるのです。お金でも、物資でも、人材でも、届かない現実がある。そのただなかに立って、何を手掛かりにすればよいのか。
おそらく、可能性は「ネットワーク」にあると思います。東北を覚えて、復興に挑戦する人のために祈る、そのような人のつながりの中に、新しい発想とひらめきが生まれると思うのです。それが、閉塞感を破る、私たちの頼りだと思います。そうした「ネットワーク」をつなげ・広げることこそが、「被災支援ネットワーク」と名付けられた私たち東北ヘルプの使命だ、と、そのように思わされています。
「ネットワーク」は、組織や制度によって確保されません。それは“のびやか”なものです。それはおそらく、自分たちの「歴史」や「文化」といった「郷土(ふるさと)とのつながり」の深化によって、 いつも豊かに養われるものだと思います。そのように考えて、私たち東北ヘルプは、2014 年から「東北キリシタンを訪ねる旅」を企画してまいりました。全国から被災地をお訪ねくださる方々に、「東北キリシタン」の歴史を語り、東北の被災地に汗する支援者の歩みを、その歴史につないでご案内してまいりました。ツアーはもう20回以上、行いました。そのツアーごとに、そしてその準備の度に、東北各地に根を下ろして生きる方々との交流が深まり、その歴史と文化を学びました。そして、少しずつですが、各地をお繋ぎすることができました。そうした私たちの歩みが、ひとつ、実ったようです。2022年9月17日、岩手県と宮城県の県境にある一関市藤沢町で、「切支丹合同慰霊祭」と「大籠キリシタン殉教公園開設25周年記念講演会」が、 午前・午後と続いて行われました。そこには、仙台・石巻・歌津・ 栗原・大籠・水沢から、各地の郷土史家が集まりました。新聞やテレビによって、それは報道され、私たちのネットワークの広がりを確かめ合うことができました。〜後略
パウロのことば
「たゆみなく祈りなさい。〜同時に、私たちのためにも祈ってください。」コロサイ4:2,3