2025.3.2みことばの光

  詩篇105篇は106篇とペアになり第4巻を締めくくる詩篇です。違いに着目すると第4巻の特質も見えてきます。最初の連には様々な命令があるので、何が重要かが、わかりづらいですが、5節「思い起こせ」が本篇全体にわたるテーマです。他の行動は全て「思い起こすこと」を確かにするための行動です。6節は「命じられているのは誰か」ということですが、新約聖書ガラテヤ書3章4章には「信仰による者こそ、アブラハムの子孫」と論じられています。イスラエル人、ユダヤ人がアブラハムの子孫ではなく、神の御子キリストを信じる世界中のすべての人々が、信仰によってアブラハムの子孫となるのです。私たちはこの理解に立って、旧約聖書の神の民の歴史を歌う詩篇を、「私たちの先祖の早い時代の歴史」として読み、メッセージを受け取ることがふさわしいのです。

 9節、信仰の民の歴史は特にアブラハムより始まっています。それは神がアブラハムと永遠の契約を結ばれ、アブラハムは信じて旅立ったからです。(創世記12章)11節にはこの契約の約束するもの、すなわち約束の地が記されていますが、これもパレスチナの地と理解して終わりにするには困難があります。なぜならその地は永遠ではないからです。詩篇102篇25,26節ははっきりと述べています。神がやがて滅びゆく地上の土地を神の民の永遠の住まいとされるでしょうか。キドナー師はこの詩篇の約束を「地上のどこかの権利証書とすることは間違いであろう」とやんわりと述べています。

 そして詩篇は歴史を述べます。12節、民の数が少なかった頃、24節、エジプトで人数が増えたこと、39節、エジプトを脱する時に驚くべき守りと養いが与えられたこと。契約を結んだ民を、神は着実に成長させ、祝福したのでした。末広がりです。その目的は何か。45節「彼らが主のおきてを守り、そのみおしえを保つためである。ハレルヤ。」神は歴史の中で、約束を交わした民を誠実に守り導き、神のおきてに従う幸いを教えられたのです。神のおきてとは、全力を尽くして、神を愛し、隣人を愛すること。この戒めを守る時、私たちは神の祝福を確かに受け取るのです。そして真実な神を心からほめたたえる者となるのです。

ハレルヤ!(ハレルヤは「主をほめたたえよ」の意味