2022.12.4みことばの光


 先週の祈祷会は「聖書に聴く」。エレミヤ書27-28章から教えられたことを分かち合いました。月刊誌マナ11月号にはエレミヤ書の解説がありました。この日の箇所と関係することもありますので引用します。「エレミヤ書の著者は聖書の中に明確な証拠がありません。しかし36章に書記バルクがエレミヤの口述筆記をしたとあります。この巻物はエホヤキムによって焼かれますが、主は再度、先のことばを書き記し、また他のことばも書き加えることを命じました。これが今日のエレミヤ書に近いものであろうと推測されます。エレミヤ書は日付のある事件や託宣が年代順に並べられていないのですが、おそらく書記バルクが、最初に一つの巻物を書き、その後、その他を、そのつど書き加えた、と推測されます。」エレミヤ書の読解の時に、記事の年代は注意して読む必要があります。
 そして27章1節は「エホヤキムの治世の初めに」とありますが、欄外注を見るとマソラ及びシリア語訳で「ゼデキヤ」とあります。他の写本では、27章はゼデキヤ王の時代、との解釈があることがわかりますが、これは聖書の中ではめずらしい「本文にある明らかな間違い」を、ユダヤ教の学者たちが訂正したものです。新改訳聖書はあくまで聖書本文を私たちに伝え、欄外注を読めば、読んで気付く間違いについて、解釈の方向を示しているわけです。この章は3節、12節にゼデキヤ王が登場しますから、27章全体はゼデキヤ王の時代の話しなのです。
 その中身はエレミヤの行為預言。縄とかせを自分の首にはめて「バビロン王に降伏すれば生き延びる」というメッセージをエレミヤは、周辺の外国人たち(3節)に、王(12節)に、祭司や民全体(16節)に、語ったのでした。前世紀のイザヤの時代には「ただ神を信じて堅く立て」という信仰の励ましが神のことばでしたが、エレミヤの時代は「異教国家バビロンに降伏すること」が神の御旨だったので、これに逆らう者が登場します。28章、偽預言者ハナンヤでした。「主はバビロンのくびきを砕く」と語り、自分の手でエレミヤの首のかせを砕きます。主に対する信仰に立つかのような勇ましい預言。しかしこれは主の語ったことばではなかったのです。16節「あなたは死ぬ」とエレミヤが語ると、彼はその年のうちに絶命したのでした。偽情報の飛び交う現代においても、私たちは、真正な神のことばを、判別しなくてはなりません。