20.9.13みことばの光
万軍の主は祝福して言われる。「わたしの民エジプト、わたしの手で造ったアッシリア、わたしのゆずりの民イスラエルに祝福があるように。」 イザヤ19:25
先週の祈祷会はイザヤ壮年期(40〜60才)の預言より、エジプトに対する宣告(p.108~)を学びました。これを理解するために鍋谷師は、聖書における最古のエジプトの記述から始めます。ノアの息子ハムの子孫からエジプトの民は分かれ出ました。創世記10:6に登場するミツライムがヘブル語でエジプトのことを指しています。(今日もアラブ語ではミスルと言い、同源です。)
ついでエジプトが登場するのはアブラハムの時代。彼は飢饉を避けてエジプトに寄留しますが、これはエジプト中王国の時代。ピラミッドやスフィンクスを見ただろうと推測されます。そしてヒクソスの時代にヤコブの家族はエジプトに移住し、新王朝の時代に迫害を受け、出エジプトすることになります。このように古代オリエントの世界では文明の発祥地として栄華を誇ったエジプトでしたが、イザヤの時代の後、アッシリアやバビロニアに圧倒されて没落することになります。ペルシア、アレクサンドロス、ローマ、ビザンティン、オスマン・トルコ、ナポレオン、と次々に時代の覇者に支配された後、1805年にようやくトルコから独立しますが、ナセル、サダト、ムバラクと大統領が続いて、現在は「アラブの春」以降の政治的混乱の中にあります。
イザヤは紀元前713年から、エジプトの敗北と捕囚の運命を預言しましたが、19章の預言は現在のエジプトの様子を見ているかのようです。2節「わたしは、エジプト人を駆り立てて、エジプト人にはむかわせる。彼らは、兄弟は兄弟と、友人は友人と、町は町と、王国は王国と争い合う。」しかしエジプトの未来は災いに終わりません。混乱と衰亡のかなたに新しい未来のあることが章の結びに預言されたのでした。エジプトもノアの子孫から分かれ出た神の民。他の国々やイスラエルとともに、主に立ち返れば、癒される時が到来することが約束されていたのでした。