2021.12.5みことばの光


 先週の祈祷会は「聖書に聴く」。ルカの福音書2章を読み、恵みを分かち合いました。ルカは1,2節、世界の歴史の中で救い主が生まれたことを記し、私たちに伝えています。この世の権力者の法令が旧約聖書の預言を成就するために用いられたのです。ミカ書5章2節「ベツレヘム・エフラテよ、あなたはユダの氏族の中で、あまりにも小さい。だが、あなたからわたしのためにイスラエルを治める者が出る。その出現は昔から、永遠の昔から定まっている。」この預言(紀元前8世紀)の通りに救い主はベツレヘムで生まれたのです。

 住民登録を生まれた町で行うという方法は、ローマ皇帝の命令に容易に従おうとしないユダヤ人たちの、愛国心、愛郷心に訴えて、事を進めようというカモフラージュ、ヘロデ王の思いつきではないかと言われています。

 羊飼いは評判の悪い身分の人たちでした。始終家畜の相手をしなければなりませんから他のユダヤ人のように安息日を遵守することができません。半遊牧の生活は、自分の所有と他人の所有を混同する生活習慣につながり、信頼されず法廷での証言を許されない人々でした。しかしそれは彼らが敬虔でなかったということではありません。救い主の誕生を世界で最初に知らされたのはそんな羊飼いたちでした。「この方こそ主キリストです。」という御使いの言葉の「主」は旧約聖書の「ヤハウェ」。モーセに「有りて有るもの」とご自分を示された主の御名です。「キリスト」(油注がれた救い主)とは、イスラエルをエジプトから贖い、ダビデに永遠の王座を約束された神ご自身だったのです。その方が人となって地上にお生まれになられたのでした。

 天の軍勢は軍隊とも訳される戦争を連想させる言葉です。しかしその讃美は「平和があるように」でした。神は人と和解してくださり、神との和解を得た人は隣人との間にも平和を持つことができるのです。「さあ、?見届けて来よう。」という言葉は羊飼いたちが即座に応答し行動したことを伝えています。私たちも「いそぎゆきて拝まずや」(『神の御子は今宵しも』)との讃美歌を歌いながら、神のみわざをほめたたえるものとなりましょう。