2021.10.10みことばの光


 先週祈祷会は『聖書に聴く』ヨハネの黙示録12章を学びました。黙示録は1世紀末、ローマの皇帝ドミティアヌスの迫害が激化した時代に、使徒ヨハネがエーゲ海の小島パトモスで受けた啓示です。黙示(ギリシャ語でアポカリュプシス)は「幻と言葉」によって与えられた啓示。通常の言葉では表現しきれない、象徴的意味を持たざるをえない部分があります。また数字には注意が必要で、文字通りとってはいけない場合があります。しかし1世紀の読者には馴染みの文学形態で、言わんとするところを理解することができました。

 黙示録全体がすべて時系列で記されていないことも注意すべき点です。全体で八つの段落に分けられ、その始まりは@1:9?世界の教会、A4:1?教会の苦難、B8:2?世界への警告、C11:19?世界の歴史、D15:5?世界への審判、E17:1?バビロンの運命、F19:11?教会の勝利、G21:9?新しいエルサレム、となっています。W.ヘンドリクセンによると黙示録の構造は、らせん階段状に黙示が進展しているのを、側面から見ているようなもの、と言われています。らせん階段が、何度も円を描くように、同じテーマが繰り返し登場します。しかし、それは同じ所を堂々巡りしているのではなく、確かに建物の頂点、歴史の結末に向かって進展しているということです。

 12章は11章19節の天の神殿の光景によって新たな段落に入ります。エルサレム神殿は紀元70年に破壊されていましたから、これは天の聖所こそ揺るぎなく存在していることを示しています。契約の箱は神の聖と義を表わすさばきの近いということです。それで稲妻、雷鳴、地震、大粒の雹が降ります。

 12章に登場する女性の解釈は種々ありますが、「真のイスラエル」「教会」と理解すべき、また部分的にはイエスの母マリアと理解することができます。大きなしるしとは特別な予兆。読者は注意すべきです。太陽をまとっているのは教会が神の栄光の輝きを帯びているということを示しています。地上では苦難を受けていても教会は霊的には光り輝いているということです。